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え、え~と……こ、こんにちわ!!柊つかさです!! 最近お姉ちゃんが変なんです、一人で急にニヤニヤし始めたり、こなちゃんの名前を突然呼び始めたり……。 これって変ですよね? ……え?変じゃないって? ……あはは~バルサミコ酢~♪ ――お姉ちゃんを観察!!-朝-―― 朝、私は寝起きが悪いです。 自分では起きられません、お布団の中が幸せ過ぎて出れません。 そんな私をお姉ちゃんは毎日起こしに来てくれます。 ……ねぇお姉ちゃん、誰と電話してるの? 「ホントアンタは起きないなー、毎朝私が電話しないと起きない訳?……ツンデレ言うな!!」 ……どうやらこなちゃんと電話しているみたいです、朝なのに。 その月のお姉ちゃんの電話代は2万を超えていました。 どんだけー。 ―――――――――― 「急ぐわよ!!つかさ!!」 「お姉ちゃん待ってぇ~」 お姉ちゃんが全速力で走っていきます、もう姿が見えません。 途中で燃え尽きていないか心配です。 「お姉ちゃ~ん……」 私も急いで走ります、だけど朝という事もあってか身体が動きません。 お姉ちゃんは動いてます、通った跡が黒くなってます。 どんだけー。 ―――――――――― やっとの思いでこなちゃんとの待ち合わせ場所にたどり着くと……。 「こなたぁ~~~♪」 「かがみ~~~ん♪」 お姉ちゃんとこなちゃんが抱き合っていました。 あはは~バルサミコ酢~♪ 「会いたかったよぉ~♪」 「こなたぁ~♪」 私の中のお姉ちゃんが崩れ落ちました。 ジェンガみたいに崩れ落ちました。 厳しいけど立派だったお姉ちゃんは何処に。 「かがみのラブコールで目が覚めたよぉ~♪」 「こなたぁ~♪」 お姉ちゃんはさっきからこなちゃんの名前しか言ってません。 お姉ちゃんの思考回路は壊れちゃったのでしょうか。 ……これが私のお姉ちゃん? ……『嘘だ!!』 ……あれ?私は一体……何を言ったのかな……? 「かがみぃ~、もっと強く抱きしめて~♪」 「こなこな♪」 お姉ちゃんが壊れました、完全に壊れました。 もはやお姉ちゃんではありません。 「やっぱりかがみは私の嫁だよぉ~♪」 「こなこな♪」 お姉ちゃん、粉が欲しいの? 買ってこようか?買って頭から掛けようか? 「そろそろバス来ちゃうから行こうかがみぃ~♪」 「こにゃた~♪」 私は盛大にずっこけました。 壁が壊れる位の衝撃でずっこけました。 しかもこなちゃんには私の存在すら気付いていない様子です。 あはは~バルサミコ酢~♪ ―――――――――― バスの中でも二人は抱き合っています。 しかも何かオーラが出ていて近寄る事が出来ません。 どんだけー。 「うにゃ~うにゃ~♪」 「みゅ~みゅ~♪」 お姉ちゃん達が動物になってしまいました。 隣に居る男の人は何やら悶えています。 「かがみゃ~♪」 「こにゃこにゃ~♪」 どうやら猫になりきっているみたいです……恥ずかしくないのかな……? 隣に居る男の人は窓に頭を打ち付けています、窓にヒビが入りました。 「きちゅ……きちゅちよ……」 私は盛大に飛びました、勢いがありすぎて一回転しました。 隣に居る男の人は窓に頭を打ち付けています、窓が割れました。 そしてお姉ちゃん達はキスしています、ちなみにバスの中です。 え?分かってるって? どんだけー。 隣に居る男の人は床を転がりました。 そんなこんなで学校に到着です、バスは半壊してました。 ……と言うより半分溶けてました、走るのでしょうか。 お姉ちゃん達は校門でキスしながら抱き合っています。 閉鎖空間が出来てました、ATフィールドかディストーションフィールドが発生してました。 ……ちなみにまだ朝です。 ……あはは~どんだけ~♪ お姉ちゃんを観察!!-午前- コメントフォーム 名前 コメント 笑笑(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-07-03 20 47 31) あはは、バルサミコ酢〜♪ -- 名無しさん (2021-02-10 22 58 40) 耐えてたのに「買って頭から掛けようか?」に吹いたww -- マッドサイエンティスト (2014-05-05 11 43 28) あ、バスぶっ壊したの俺だ・・ -- 名無しさん (2010-01-07 00 59 42) 窓割ったり 床を転がったりして 申し訳ありません。 それたぶん私です -- 無垢無垢 (2009-02-24 21 12 09) かがみ精神崩壊(いい意味でね)ww -- 名無しさん (2009-02-24 20 43 20) 柊つかさ様へ 貴方の姉君は至極正常です。 ただ、新婚夫婦等がかかりやすい単なる「バカップル症候群」に冒されてるだけです。 多少症状が重めですが既に手遅れなので別段心配は要りません。 周りへの被害は許容範囲内です。 これからも愛溢れ漲ってるお二人を生暖かい目で見守ってあげて下さい。 -- こなかがは正義ッ! (2009-02-18 02 53 10) 読み終えたらなぜか部屋の窓が全て割れていて頭が痛いのだが? -- 名無しさん (2009-02-17 23 27 31) 朝でこれとか…w それ以降どうなるんだろうww(:´・ω・) -- 名無しさん (2009-02-17 21 22 32) バカップル警報 -- 名無しさん (2009-02-17 18 25 04) GJ かがみが昼休みにこなたの教室に入った瞬間で桃色空間が発生しそうw -- 名無しさん (2009-02-17 02 00 57) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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お昼休み。私達はいつものように4人でお弁当を広げていた。 うん、お弁当。今日はチョココロネじゃないのですヨ。 「もぐもぐ・・・」 「どう、こなた。おいしい?」 「おっ、また腕を上げたね。とってもおいしいよ、かがみ」 「よかった~、味付け不安だったけど、大丈夫だったみたいね」 「よかったね、お姉ちゃん」 わたしの心からの即答に、神妙な面持ちだったかがみの表情が明るくなった。 そう、今日のお昼はかがみお手製のお弁当。 わたしとかがみがお互いの気持ちを伝え合った────恋人になったあの日から しばらくして、時々作ってきてくれるようになった。 当初はチョココロネばかりじゃ栄養が偏ってよくない、とまぁかがみらしい言い訳を していたけど、最近はそんなこと言ったのを忘れてるくらい入れ込んでるみたい。 もちろん、わたしにとっては嬉しいことだったし、拒む理由は微塵もない。 味のほうはまだまだ普通なんだろうけど、腕が上がってきてるのは確かだし、かがみん補正で どんなもんでも美味しく感じちゃう。わたしも染まってるなぁ~。 「お姉ちゃん、最近がんばってるもんね。突然、料理のこと教えて、って言われたときは びっくりしたけど」 「まぁね。このままずっと下手のままでもいいかって思ってたくらい、料理に興味なかったし」 「だよね~。あのかがみがね」 「何か言ったか?」 「イエイエ、気のせいですヨ?」 「よっぽど泉さんのこと想っていらっしゃるんですね。ほら、想いは人を動かすといいますし」 「うんうん、特に料理は心込めて作るのが一番だよ」 「ちょ、ちょっと。みゆき、つかさぁ・・・」 「こなちゃんも嬉しそうだね~」 「愛情いっぱいの手作り弁当、そして照れるかがみん、なんて萌えるシチュエーション」 とうっ! 箸をおいてかがみんへダイブ。 「こら、抱きつくな! 場所わきまえろって……。ほらほら、馬鹿なことやってないで さっさと食べなさいって。なんなら私が代わりに食べてやろうか?」 「あぁん、そんな殺生な~」 言われなくともっ、と席に戻りほおばる。って、なにじーっと見てるんですかかがみさん。 つかさにみゆきさんがなんとも生暖かい目で見てるよ。 「微笑ましいですね~」 「そうだね~」 教室は今日も騒がしい。以前とちょっと変わったわたしたちの掛け合いも 周りからは相変わらずの風景と思われてるようで、とりたてて気にかける人もいない。 相変わらずといえば、つかさとみゆきさん。二人とも、わたしたちの関係を知っても 同じように接してくれる。今みたいに、ちょっとひやかされたりもするけどね。 ────それは、少し前の放課後。 めずらしくみゆきさんに、「どこかでみんなでお茶しませんか?」と誘われたので、4人で 学校近くの喫茶店へ。 注文を一通り頼むと、みゆきさんが口を開いた。 「実は……その、ですね。泉さんとかがみさんにお尋ねしたいことがありまして。 個人的なことですし、もしかしたら勘違いでとんでもなく失礼かもしれないのですが……」 「ん~、なになに? どんと聞きたまへ」 「みゆき、どうしたの?」 「えっと、ですね……」 目をそわそわさせて、なにか躊躇ってたみゆきさんだったけど、意を決したのか私達の方を 見て続けた。 「その、お二人は……お付き合いをなされてるのでしょうか」 「えっ? ええええええっ!!」 一番びっくりしたのが図星を突かれたわたしたちではなく、突拍子な話をいきなり聞かされた つかさだったのは、まぁなんというか。 とりあえず落ちついてください、とみゆきさんに宥められている。 苦笑しながらかがみと顔を見合わせる。 「あはは、流石みゆきさんだね」 「ふふ、そうね。やっぱり気づいちゃってたかー」 本当はしばらく隠すつもりだったけど、やっぱ後ろめたい気持ちもあり、どうしようかと かがみと悩んでた矢先だっただけに、みゆきさんが先手を買ってでてくれた形になった。 「あまり詮索するのはよろしくないと思ったですが、何かよそよそしいというか、私と つかささんに遠慮されている感じがしまして……」 「そっかぁ。普通を装ってたんだけど、それがかえって変だったかな」 「まぁこなたが普通って、ある意味変だし」 「……容赦ないね、かがみん」 「結構前から薄々はそんな気はしてましたよ。お二人が一緒のときはとても嬉しそうでしたから。 でも、最近の異変に気づいたのはつかささんなんですよ」 「へっ、つかさが?」 ちょっとびっくり、という感じでつかさを見た。うん、とうなづきながら、 「最近のお姉ちゃん、お家で難しい顔してることがあったし、こなちゃんも学校で ぼーっとしてること多くなかった?」 「そういわれると、そうねぇ。どうしようか考えてたりしてたから」 「わたしの場合はただの寝不足な気もー」 「あんたは……」 「寝不足だったら、こなちゃん我慢しないで眠りしちゃうでしょ。それとは別に、起きてんだけど 授業中とか外眺めてたりとか」 「へぇ~。あんたでもそんなセンチメンタルな気分になるのね」 「ひっどぉ~わたしを何だと思いかっ」 「ごめんごめん、こなたのそんな姿ってなかなか想像つかなくてっさぁ」 ぷぅー、とふくれてるわたしをかがみがよしよしと撫でてくれる。きもちいいなー。 つかさがニコニコしてこっちを見ている。 「ほんとうに仲いいよね~。よかったぁ。まさかとはおもったけど、ケンカとか しちゃったのかなって。それでね、ちょっと心配でゆきちゃんに相談乗ってもらったの」 「それはいくらなんでもないっしょ。意外なことは気づくのになー」 「まぁ、つかさなりに心配だったんだろうけど。私とこなた、いつも一緒にいたでしょうに。 ケンカしてる相手と四六時中いるほどお人よしじゃないわよ?」 「あはは、そうだね~。でもお姉ちゃんとこなちゃんが付き合ってるなんて、ゆきちゃんも 言ってなかったし、びっくりだよぉ~」 やっぱつかさはつかさだなぁ。鋭いのかやっぱり鈍いのかよくわからないヨ。 でー、とかがみが改めてみゆきさんのほうを見て、 「つかさに相談されて確信した、と」 「えぇ。確信はあったのですが、やはり万が一ということもありますし。お二人から 話してくださるまで私の心の中に留めて置くつもりでした。でも、つかささんではないのですが、 改めてお二人の様子を見ると私も心配なってきてしまいまして。すみません、答え難いことを お聞きしてしまって……」 みゆきさんがとても申し訳なさそうにしてるので、あわてて答え返した。 「いやいや、謝らなくていいよ。いずれは話すつもりだったし、むしろ切っ掛けを作ってくれて 感謝、って感じかな。ね、かがみ」 「そうね。どう切り出したらいいものかずっと悩んでたし。気にしなくていいわよ、みゆき」 「そうですか……ありがとうございます」 「心配かけちゃってごめんネ、二人とも」 「いえ、予感はいい方向で当たってたましたから。お二人とも幸せそうで何よりです」 「うんうん。おめでとう、お姉ちゃん、こなちゃん」 …………って、あれ? 「いやいやいやまてまて。その前に疑問はないのか?」 かがみもおかしいことに気づいたらしい。 「え、なんでしょう?」 「いや、だからその、わたしたち女の子同士で付き合ってる訳なんだけど」 「うん、そうだね~」 「それが、どうかしましたか?」 「あー……うん。つかさがそんな反応しそうなのはわかるんだけど」 こなちゃん、さりげなぐひどいこと言ってる、とつかさが抗議してるがとりあえずおいといて。 「みゆき、本当に変だと思ってないの?」 「ええ」 一呼吸置いてからみゆきさんがつづけた。 「お二人の恋愛がこの国で必ずしも祝福されるものとは言えないのは承知しています。 それでも頑張ってる方はいますし、世界に目を向ければ決して稀なことでもありません。 もちろん茨の道ですし、厳しい事が多々待ち受けてると思います」 うん。決して手放しで喜べる関係じゃない。 お互いがどうしてもあと一歩踏み出せなかったのも、これが理由の1つなのは 違いなかったし。もちろん、それだけじゃなかったけど。 「でも、お二人でお決めになさった事ですし」 それでも、勇気を出して告白しあったんだよ。 「泉さんもかがみさんも、心からお互い好き合っているのですよね?」 想い、通じ合えたよ。 わたしの思ってるが読み取れたのか、いつものほんわりとした表情でみゆきさんが応えてくれた。 「それなら、私は親友として、お二人を影ながら応援させて頂くまでですよ。つかささんも そうですよね」 「うん! 難しい話はあまりよく分からないけど、お姉ちゃんとこなちゃんに幸せになって欲しいな。」 つかさも持ち前の笑顔で言ってくれた。 「つかさ……みゆきさん……」 「ありがとう、二人とも」 様子を察して心配してくれて、うまれたての、でも女同士という奇特な恋、それでも 祝福してくれるふたりに胸の奥がほっこりする。 はは、ちょっと視界が曇っちゃたヨ。ここは一つごまかすために……。 「あー、かがみん涙目~」 「な、何いってんのよっ。あんたこそ普段ありえないくらいうるうるさせてるじゃない」 「気のせいだヨー」 しばらく見合ってたけど、あまりにベタ過ぎて、おもわず笑い出してしまった。 つられてかがみも、様子を見てたつかさとみゆきさんも笑い出した。 「そうだ、ふたりとも」 「はい?」 「な~に、こなちゃん」 「これからも、今までどおり接してもらえるかな?」 「周りにあまり感づかれないようにですか?」 「んーん。変に気使われるのも恥ずかしいしさ。それに、この4人での空気は大事に したいなぁ、って。かがみは一番大事だけど、それに負けないくらいつかさやみゆきさんも 大切な友達だからね」 「そーゆーこと。改めて言うのも変だけど、これからもよろしくね」 わたしたちからのお願いに、二人は顔をちょっと見合わせてたけど、すぐに答えてくれた。 「言われずとも、もちろんですよ。これからもよろしくお願いしますね」 「うん、当然だよ。嫌だっていっても一緒だからね?」 「あ、もちろんご用事の際は遠慮なく言ってくださいね」 「そうそう、お邪魔しちゃ悪いからね~」 快い回答とともに表情はちょっとニヤニヤしてる。や、やるなー……。 まぁ、これぐらいは親友の特権ということで。 またどこからとなくわたしたちの間に笑いがおこる。和やかな空気。 この空気を壊さずにすんでよかった。 ありがとう、つかさ、みゆきさん。 ────かがみの"手料理"を食べながら、ふとこないだのことを思い出していた。 「そういえば、あんた今度の休み、暇?」 「んー?」 呼ばれて、我に戻って返事をする。 「もしよければ買い物に付き合って欲しいんだけど。あ、嫌ならいいのよ」 「ほうほう、デートですか~」 「で、デートってそんなんじゃぁ…」 「えぇっ、ちがうのー? これってデートのお誘いだよね、つかさ、みゆきさん」 「そうですね。泉さんとかがみさんは恋人同士なんですし、デートだと思いますよ」 「そうだよー、お姉ちゃん。素直になろうよ~」 「ほらほら、二人もこう申しておりますヨ」 集中砲火でかがみがゆでだこよろしく真っ赤。 ツンデレっぷりもさえてるし、ほんとかわいいなぁ。 「うっさい! …んでどうなのよ、いけるの?」 「かがみとならどこでもばっちこーい。あ、でも今度の休みは確か先約があった気が……」 「あらまぁ」 「残念~」 いやいや、かがみが残念がるなら分かるけど、なぜそこの二人もそんなに暗くなってるの。 「あんたが用事とは珍しいわね。また何かのイベントか?」 「ん~・・・あ、思い出した。ネトゲ仲間との約束だった」 「ちょ、ネトゲかよっ!」 「いやね。ここんとこかがみとの時間を大事にしてたから、休みとかもあんま繋いでなくてね。 わたしはそれでも全然かまわなかったんだけど。こないだ久々に入ってたらさ、たまには どーよ、と。まだ特に用事もなかったし」 「まぁ先約じゃ仕方ないわね」 「でもいいや、あっちはキャンセルするよ。わたしもかがみといるほうが楽しいしさ」 「いいわよ無理しなくっても。それにいくらゲームといっても相手に悪いじゃないの」 と口ではいってるけど、がっかりしてる感がみえみえデスヨ、かがみさん。そこまで ツンデレなくていいって。 「ううん、かがみ様が最優先事項だヨ? リアルが最優先、みんなそうだしね。つい こないだまで逆だったわたしが言うのもなんだけど。それに……」 耳元で、かがみにだけ聞こえる小さい声で──── ────なにいってんのよ、馬鹿…… 「お姉ちゃん、顔真っ赤だよ~。こなちゃん、なに言ったの?」 「それは、秘密です」 どっかの誰かのような口真似でごまかしたけど、わたしの顔も多分真っ赤だ。こんな台詞、 かがみ以外には聞かせられないヨ。 「そゆことで、かがみんにお付き合いするよ~」 「ほんとにいいの?」 「もちっ」 「ふふっ。ありがと、こなた」 かがみとっても嬉しそう。わたしもしあわせな気分になる。 すると、目で合図してきたので、もちろんとうなずく。 「で、つかさとみゆきも一緒に行かない?」 「えっ、お姉ちゃん達デートじゃないの?」 「そうですよ、お二人のお邪魔したら悪いですし」 「いいのいいの。私達は一緒にいられればそれで十分だし」 うん。心が通じ合ってるから、それだけで幸せになれるんだよ。 「どうしても二人っきりでどっか行きたい時はわざわざ人前で言ったりしないわよ。 それこそただの惚気じゃない」 「さっきまでのも十分のろけだと思うよー」 「そ、それは……その……」 つかさがどんだけー、といいだけだ。図星つかれてかがみんたじたじ。 「かがみははっきりデレるようになったからねー。わたしは以前とあまり変わってない気が するんだけどネ」 「泉さんも変わられましたよー。以前は結構茶化してごまかすこととか多かったですし。 最近はきちんとかがみさんの気持ちに応えてあげてますしね」 「うんうん、こなちゃんのほうが変わった感じするよ。ほんと、お姉ちゃんのことが 好きなんだね~」 うぉっ、地雷踏んだか。みゆきさん、表情はニコニコなのに発言えぐいデス。つかさも 追加攻撃してくるし。 じゃれあうのは慣れてるけど、こういうのはとても恥ずかしいヨ。 「ヒヒヒ、たまにはこっ恥ずかしい思いしなー。んで、二人ともどうする?」 「それじゃ、せっかく誘っていただいてますし。ご一緒させてもらいます」 「うん、私も行くよ~」 「よし、んじゃ今度の休みは4人でパッーと遊ぶかっ」 「らじゃぁー」 「それに、お姉ちゃん達見てると楽しいし。ね、ゆきちゃん」 「そうですね~」 「今度はどんな惚気を見せてくれるのかなー」 「私達はオチ対象かっ! こなたも何か言ってやんなさいよ」 「えー、わたしは別にかまわないし~。かがみんは照れ屋さんだもんネ」 「さっきまで真っ赤にしてたヤツの台詞か!!!」 今日もいつもと同じように時が流れてく。 いや、やっぱちょっと変わったかな。 わたしとかがみの関係がちょっと変わったように、お昼ごはんがチョココロネから お弁当に変わったように、わたしたち4人の関係もすこし変わったかな。ずっと 同じままなんてありえないしね。 でも、親友であることは変わらないし、これからもずっと変わらないと思う。 みんながそう望んでいれば、きっと大丈夫だよね。 そして、かがみの恋人であることも、ずっと。 あ……でも、こっちは変わってほしいかな。もっとより進んだ関係に、ネ。 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-21 12 08 22) 恋人同士になっても、いつもの延長に居れる4人全員に萌えた!GJです! -- 名無しさん (2010-04-14 22 17 19)
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テスト終了のチャイムが鳴り響く 体調不良のせいか頭の回転がやけに遅く、集中力も続かなかったこともあり、問題を解く速度はいつもより大分遅かった 幸か不幸かテスト自体はいつもの通りできたと思う その分体調は悪化してきたが…… 今日は早く帰ろう と早めに席を立ったのだが 「柊ぃーテストどうだった?」 「……まぁまぁよ」 日下部と峰岸に捕まった 「そう言って軽く8割取るんだから狡ぃよなー」 私には無理だとケラケラ笑う日下部 その横で頑張れば大丈夫よと励ます峰岸 「何よ?用事は?」 「そうだった、試験も終わったことだし、この前出来た喫茶店に行こうかなって。だから柊も来い!」 「来い…って命令形かよ、私は今日行けないわよ」 いつもならこの気の良い中学時代からの友人達と付き合うのだが、自分も辛いし、何よりもあまり長く一緒に居て風邪を移したくなかった 「何だよーまたちびっこかよ?」 「違うわよ、本当に今日は無理だから」 「……!?そうか!男だろ!?」 「違うって言ってるじゃない!」 怒鳴ったらまた辛くなってきた そう思った次の瞬間 「なぁ良いだろー今日位は一緒に行こうぜ―」 突然日下部が抱きついてきた 思わず振り払って距離を置く あんなに近づいていたら間違いなく風邪は移るだろう ふぅ…とため息をつき顔を上げると 驚き傷ついた顔の日下部がいた 「柊?」 「今日はあまり近づかないで」 「ひ、柊ちゃん!!」 「わかったよ……もぅ誘わないかんな!柊なんて大っ嫌いだ!!」 風邪が移るから、と続ける前に走り去る日下部 残された峰岸がこっちを見てる、その視線だけでこっちを責めているのが判る 「柊ちゃんらしくないよ?みさちゃん最近柊ちゃんが根詰めすぎだっ!て心配してどうすれば気が晴れるか一生懸命考えてたのに…どうしてみさちゃんにあんなこと言ったの?」 「はぁ……」 本日何回目かわからないため息をつき、昨日の徹夜で体調を崩した事、だから今日は早く帰りたい事、風邪を移したくないから余り近づいてほしくなかった事 とりあえず全て話した 「もぅ!そういう事はちゃんと説明しないとダメだよ?」 「解ってるわよ、次会ったときにでも謝っておくわ」 「それに体調が悪いなら無理して学校来ちゃ駄目だよ?」 「徹夜で勉強したのにもったいないじゃない、どのみち週末だから…」 「柊ちゃん?」 「……解ったわよ」 みゆきもそうだが、普段おとなしい人に限ってこういった時に凄みがあると思う 「それでどの位熱があるの?」 「朝は38℃位だったかしら?」 どれどれ、と峰岸の顔が近づいて来る 額と額が合わさる 冷たくて気持ち良い 思わずそう考えていたら 「うわぁあぁぁあ!」 叫び声と共に風の様に現れたこなたに腕を捕まれ引っぱられるように教室から連れ出される 熱のおかげで上手く動かない体で抵抗出来る訳もなく、何とか自分の鞄を手に引っ掛け、こなたにそのまま連れていかれた ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 私は一人教室に取り残された 頭に浮かぶのは二人の友達 柊ちゃん凄い熱だったけど大丈夫かしら? 後からきた泉ちゃんがもの凄い勢いで引っ張ってったから大丈夫かな、と自己完結 私はもう一人の友達に事情を説明するためにも携帯電話を開いた ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ こなたに腕を牽かれ廊下を走る 体調のおかげで、いつもの下駄箱までが果てしなく遠く感じた 「はぁ…はぁ……」 「あっ!ごめん!!」 こなたは引っ張ってきた事に今さら気がついたかのような顔をして手を離した 走ったせいだろう、熱が上がり頭がぼーっとする 深呼吸して息を整えようとしてみたが、整う気配がないので構わずに口を開いた 「別に…良いけど、どうしたのよ?」 「いや~その、かがみは‥さっき峰岸さんと何してたの?」 峰岸?何でここで峰岸が出てくるのだろう? そんな疑問を感じつつ先程までの自分を思い返してみるが、頭の回転が悪い為か所々で記憶があやふやになっている たしかこんな感じで… 「……こうしてただけよ?」 こなたの頬に手を伸ばす、頬に触れた瞬間ビクッと体が反応した そのまま顔を近づけ額をくっつける 当たった額から伝わる熱が気持ち良い、と思うと同時に自分の今の状態を思い出す 「かがみ様?貴女は一体全体何をなさっていられるのですか?」 「何って…アンタがしろって言ったんじゃない」 こなたの去っていく熱を名残惜しいと思ったが、そのせいでこの小さな親友に風邪を移したくはないので、ゆっくり額を離し、靴を履き替えると同時に不自然ではない位の距離をとる 一方のこなたはというと気の抜けた表情をしていた 「かがみは峰岸さんとキスしてなかったってこと?」 「……逆に何で、私と峰岸がキス‥しなくちゃ、いけないのよ?」 質問の意図が判らない、何でこなたがこんなことを言い出すのかが判らない 熱でぼーっとして考える事自体が面倒になってきたが、自分をここまで引っ張って来たのにも理由があるはずだ 「結局…何の、用事だった‥のよ?」 「そうだった!今日みんなでカラオケ行くんだけど、かがみも行く?むしろ来い!!」 何でこういう日に限って誘いが多いのだろう?テスト最終日だからみんな遊びたいのか?というよりまた命令形?みんなでカラオケは楽しいだろうな、でも風邪は移したくないな…… 「……ごめん、今日‥は、無理」 「え?」 私は何を考えているのだろう、思考がまとまらずに暴走している 急に頭痛が酷くなってきたので思わず頭に手を当てる 「今日……に…理なの?」 こなたの声が急に遠く聞こえた 頭痛は時間が経つに連れて増す一方で 「……うん」 返事を返すので精一杯 「何か…事?」 「……うん」 「……ま……………でも……た?」 「……うん」 もうこなたが何を言っているのかも解らなかった 聞こえてくる音に反応して相槌を打つのもそろそろ限界 自分の事で迷惑掛けたくなかったんだけどな… 気を抜くと倒れてしまいそうな体、熱で働かない頭 限界はもう直ぐそこまで迫っていて 「ごめ、…もう…無理」 重力に従い崩れ落ちる体、薄れてゆく意識、消えかけた視界が最後に捉えたのは、涙を浮かべながら無理に笑おうとしているこなただった 無題(H2-209氏)(仮)3へ コメントフォーム 名前 コメント GJ!! -- 名無しさん (2023-06-23 22 10 18) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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「こなちゃーん、遅れてごめんねー」 「あっ、つかさ!遅かったから心配しちゃったよ~」 学校は冬休みに入り、私たちは早速買い物に出かけることになっていた。 でも、珍しく時間通りに待ち合わせ場所に行ってみると、つかさもかがみも来ていなかった。 携帯を持たない私は、それから約30分放置プレイの気分を味わった。 うう、待つことの辛さを初めて知ったよ・・・。 「そういえば、つかさは何で遅れたの?かがみは来てないみたいだし」 「うーん、それがね、お姉ちゃんが出かける直前に倒れちゃって・・・」 「ええっ、かがみが!?な、何で!?」 驚いてつかさに尋ねる。 私の嫁であるかがみの身に何かあったら、私はこれから先、どうやって生きていけばいいの!? 「実はお姉ちゃんね、今朝からずっと熱があったみたいなの。でも、こなちゃんと久しぶりに遊べるからって無理してたみたいなの」 「そうなんだ・・・」 最近テストとかで忙しかったからなあ・・・。 実際私が早く来たのも、かがみとつかさと思いっきり遊べるのが楽しみだったからだからね。 「でね、今日家に誰もいないから、私がお姉ちゃんの看病をしないといけなくて・・・」 申し訳なさそうに言うつかさ。 でも、私が携帯を持っていたらわざわざここまで来なくても伝えることは出来ただろう。 あー、今度からは携帯も持ち歩かなくちゃねー・・・。 よしっ! 「つかさ、私も行くよ。かがみが心配だし」 「えっ、本当?よかった~、お姉ちゃんも喜ぶよ~」 こうして私はつかさと共にかがみの看病をすることになった。 とんでもない悲劇が私を襲うとも知らずに・・・。 「おじゃましま~す。・・・ってあれ?つかさ、家族の人はどうしたの?」 柊家に行ってみると、いつも見かけていたおじさんやかがみそっくりのおばさんがいなかった。 「うん、みんな朝から出かけちゃって・・・。私一人って結構不安だったんだ~」 つかさが私に笑顔を向ける。 やっぱりつかさもかなりの萌えキャラだよね~。 かがみんがいなかったら、襲い掛かって食べちゃうとこだよ~。 「さて、それじゃあかがみんの様子でも見てきましょうかね♪」 「すう、すう・・・」 ぐっすり眠っているかがみの顔を覗き込む。 「う、んん・・・」 寝苦しいのか、少し寝返りを打ったかがみの顔は、熱のせいかうっすらと赤く染まっていた。 汗もかいているようで、髪が少し顔に張り付いている。 やばい。物凄く可愛い。 「すう、すう・・・」 「・・・・・」 しばらくの間かがみを見続ける私。 うう、もう我慢できない! 「ん・・・こなた?」 かがみに触れようと手を伸ばしたところで、かがみが突然目を覚ました。 「うわっ!?え、えーと、いや~、お見舞いに来たんだけど、また良い寝顔を見せて貰ったよ~」 しどろもどろになりながらも、何とかごまかすことに成功。 かがみも、 「ま、またアンタは・・・!からかいに来たんなら帰れ!」 と、顔を真っ赤にしながらいつも通りのセリフをくれた。 「ダメだよ~お姉ちゃん。こなちゃんはお姉ちゃんを心配して来てくれたんだよ?」 「えっ?こ、こなたが私のことを・・・?」 私の後ろからひょっこり顔を出してかがみをたしなめるつかさ・・・いたんだ。 うう、ずっとかがみのこと見つめてたの、気づかれちゃったかな・・・? そう思いながらも、とりあえず私はかがみに声をかけることにした。 「そうだよ~かがみん。私の嫁に何かあったら大変だからね♪しっかり看病してあげるから、私に任せたまへ~」 「い、いつ私がアンタの嫁になったのよ!?」 「気にしない気にしない♪とりあえずかがみは寝てていいよ」 いつもはもっとかがみをからかうところだけど、熱が上がっちゃいけないからね。 「それじゃあつかさ、かがみに昼ごはんを作ってあげようか」 「うん、そうだね!おかゆとかでいいかな?」 こうして私とつかさでかがみのお昼ご飯をつくり、食べさせてあげた。 ここまでは良かったんだ、ここまでは・・・。 「あれ?つかさー、飲み物無くなってるよ?かがみ全部飲んじゃったみたい」 「えー、そうなの?冷蔵庫にも何もないし・・・。買ってこないといけないね~」 「あ、じゃあ私が行って来るよ。つかさはかがみに薬飲ませてあげてよ、熱下げるやつとか」 「うん、わかった~」 本当は私がかがみに飲ませてあげたいんだけど、そこら辺はつかさに任せることにした。 ちょっと残念だけど、あの2人は姉妹だからね~。 「ありがとうございました~」 コンビニを出て、かがみの家に戻る。 かがみんのためにアイスやプリンも買ったので少し袋が重い。 ちょっと時間かかっちゃったかな? 「ただいま~。つかさ~、買って来たよ~・・・ってあれ?」 台所には誰もいなかった。つかさも、当然かがみも。 う~ん、かがみの部屋かな? そう思ってかがみの部屋へ向かう。 何か騒がしい気がするんだけど・・・。 勘違いじゃありませんでした。 「あはははははっ!見ろ、東方は赤く萌えている!」 「や、やめてよお姉ちゃ~ん、近所迷惑だよ~」 「つかさ、私は空を飛べる気がするわ・・・ううん、きっと飛べる!いざ行かん、イスカンダルへ!」 「む、無理だよ~」 かがみのキャラの壊れかたが半端じゃない。まさにカオス。 一体どうしたらこんなことに!? 「こ、こなちゃ~ん、く、薬を飲んだらお姉ちゃんが変に・・・ひゃうううっ」 「あはははははっ」 「薬ってまさか・・・これ?」 私が拾い上げたそれはまさしく・・・ 「タ、タミ○ル!?しかも使用期限切れてるし!」 な、なんでこんなものが・・・。 ってゆーかつかさ、こんなとこで自分の萌え要素をアピールしなくても・・・。 かがみもこれであそこまで壊れるのはおかしくない? 「あ、こなただ~~~♪」 「うひゃああああっ!?」 色々考えてるうちにかがみに襲い掛かられた。 つかさはいつの間にか逃げ出している。 くうっ、こんな時だけ素早いなんて・・・! 「んんっ、こなた可愛い・・・」 「ちょ、ちょっとかがみ・・・。とにかく寝よう、ねっ!?」 「こ、こなた・・・。全くもう、気が早いんだから♪」 そう言うと同時にかがみのベッドに引きずり込まれる私。 「ち、違うよ!そういう意味じゃ・・・ふわあっ!?」 「こなたったら凄く可愛い声出すのね、可愛い・・・」 「んっ、ふう・・・ん、あはあっ!そ、そこはダメ・・・んひゃうっ!」 「こなた、こなたあ・・・」 体のあちこちを弄られ、私は声を抑えることが出来ない。 エロゲの達人である私がここまで翻弄されるなん、てえ・・・。 「んじゃ、こなたも準備オッケーみたいだし、いっただっきまーす♪」 「や、やめてかがみ・・・うにゃああああああああああああああああああ!?つ、つかさ、あんっ・・・た、助けて~~~!」 こうして私はかがみが正気に戻るまで攻められ続けた。 つかさは私の声が聞こえてたはずなのに助けてくれなかった。 うう、覚えてろよ~・・・。 かがみに抱かれたまま、私はつかさへの復讐を誓うのであった。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-16 20 55 01) つかさ編欲しいっすねぇ -- 名無しさん (2009-10-27 19 47 16) 明らかに正気だろwwww -- 名無しさん (2008-05-18 02 36 14) ホント最高だわwwww かがみカオスwwww だが、それがいい!!! -- ハルヒ@ (2008-05-05 00 35 04) このシリーズは本当おもしろすぐるw -- 名無しさん (2008-04-22 01 11 05) nice konakaga.wwwww -- 名無しさん (2008-04-21 20 19 37) タミフルってwww -- 名無しさん (2008-04-18 02 57 58) こなたの~~ シリーズは毎回面白くていい(≡ω≡.)b -- ほむ (2008-04-14 13 10 36) このシリーズはこなたがかわいくて好きです -- 名無しさん (2008-01-23 18 49 35)
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「えっと・・・最後にバルサミコ酢を入れてっと。」 バルサミコ酢を手際よくボールの中へ。我ながら料理の腕が上達したな。 もう1年たつんだな。お姉ちゃんと私が一人暮らしを始めて。あ、お姉ちゃんはこなちゃんと二人暮らしだった。 「出来上がり。結構たくさんできたから、お姉ちゃんとこなちゃんに食べさせてあげよっと。」 ピーンポーン・・・ 響くピンポンの音。もう7時過ぎているのに。 「およ?誰だろ?はーい!どうぞ?」 ガチャ・・・ 無言で開くドア。そこにいたのは見慣れた大事に親友さん。 「あれ?こなちゃん!どーしたの?」 「・・・あの、ふつつか者ですが今晩泊めていたたけないでしょうか?」 「ふぇ?」 頭の中でたくさんの私がフル稼動。こなちゃんはお姉ちゃんと暮らしてて、こなちゃんの家はお姉ちゃんの家。 なのに自分の家に泊まれない?だから私の家に?こなたはかがみの嫁?ということはお姉ちゃんはどうするの?あれ?あれ?あれれ? 「えええっと・・・つまり、どいう事?お姉ちゃんは?」 「・・・かがみなんて知らないもん!」 「ほぇ?」 かがみなんて知らない?お姉ちゃんが分からない?こなちゃん記憶喪失かな? 「あ!分かった!こなちゃん、お姉ちゃんとケンカしたんでしょー?」 「・・・鋭いな、つかさのクセに。」 「なんですとっ!?ま、まぁとにかく上がってよ、夕飯も出来てるし。」 「つかさは優しいね。ごめんね、迷惑かけて。」 「ううん、平気だよぉ。」 お姉ちゃんとこなちゃんがケンカか。お姉ちゃんがケンカする所なんて、想像出来ないな。 それにしても、こなちゃん、元気ない。あからさまに落ち込んでる。 「こなちゃんはお姉ちゃんが大好きなんだね。」 「な、何を急に!?」 「んー、なんとなく。」 だって、こんなこなちゃん初めて。きっとお姉ちゃんに嫌われたって勘違いしてるんだろうな。 お姉ちゃんはこなちゃんの事、大好きなのに。双子だから、分かるのかな? お姉ちゃんを怒らせて、ケンカしたの、友達ではこなちゃんが最初。 だから、お姉ちゃんにとってこなちゃんは特別。そんな気がするんだ。 ‐‐‐‐ 「なぁ、あやのー。宿題見せてくれよー?まだ終わってねーんだよ。」 「ダメよ、自分でやらなきゃ。あれ?あそこにいるの柊ちゃんじゃない?」 「あー、ホントだ。珍しいなあいつが一人なの。おーい柊ぃー!」 もう冬は終わる。春の息吹はすぐそこまで来ている。もう1年が終わっちゃうんだな。 1年間通ってきた校門には柊ちゃんの姿。今日は一人だ。 いつもの2人、短い可愛らしい紫の女の子、妹ちゃんと、美しい青色の女の子、泉ちゃんはいない。 「おーっす、柊ぃ!」 「おはよ、柊ちゃん。」 「おはよー、日下部に峰岸。」 「今日は妹とちっこいのはいねーのか?」 「・・・まぁ、ね。」 柊ちゃんの僅かに引きつった頬を私は見逃さない。初めて見る表情だから。 「もしかして泉ちゃん、だよね?同居人のコとケンカしたの?」 「なっ!べ、別に・・・そんなんじゃ・・・」 「おー?図星かぁ?あやの、なかなか鋭いなー。」 「うっ・・・峰岸は何でそう思ったの?」 「なんとなくよ。特に深い意味はないわ。」 簡単よ。 初めて見る表情。中学生の頃に見たことがない、新しい柊ちゃんの顔。 戸惑い?苛立ち?憤り?ううん、きっと違う。もっと単純。 「それにしても柊がケンカとはなー。」 「・・・なによ?日下部、ケンカ売ってる?」 「だってなー。柊って気性荒いけど、誰かとケンカとかしなかったよな?」 「・・・確かに。ケンカした記憶、ないかも。なんで、あいつとケンカしたんだろ・・・」 「ふふっ。」 懐かしい記憶が甦ってくる。昔からたくさんケンカした、私とみさちゃん。 ささいな事で、ぶつかり合った、私とお兄さん。 その影に、柊ちゃんと、泉ちゃんを重ねたら、なんだか可笑しくて。 「峰岸まで・・・何が可笑しいワケ?」 ケンカなんて、単純。それが特に大切な人とのケンカなら尚更。 「内緒。さ、早く教室に行こ?みさちゃんも宿題終わってないんだし。」 「あー、ヤヴぁイ!柊ぃー!あのさー・・・」 「・・・イヤよ。自分でやりなさい。」 「みゅー・・・」 大切だから、大好きだからぶつかる。本当に愛しいからケンカする。 それが分からないから、素直に仲直り出来ないから、ちょっと戸惑ってる。 それだけなんだよ?柊ちゃん?貴女はいつ、その事に気が付くのかな? ‐‐‐‐ 「こなちゃん、ゆきちゃん、ご飯食べよー。」 「そうですね。丁度よくお腹も減りましたし。」 同じ営みの繰り返し。ですがその中でも私はお昼時間が楽しみです。 「そうだね。じゃ、いただきます。」 「かがみさんは今日いらっしゃらないのですか?」 「むぐっ・・・ゲホっ・・・」 「大丈夫、こなちゃん?お姉ちゃん、自分のクラスで食べるって。」 ちょっとした、違和感。かがみさんがいない。それもですが、違和感の正体は、きっと泉さん。 「泉さん、どこか調子が悪いんですか?」 「え?あ、いや・・・」 「こなちゃんとお姉ちゃん、ケンカしちゃったんだって・・・」 「あら・・・そうだったのですか。」 成る程。だから今日は朝、2人で登校していたのですね。 そしてもう1つ合点。違和感。やはりそれは泉さんでした。 「・・・だってかがみがさ・・・」 いつもの可愛らしいアホ毛も、心なしか萎れてます。いつもの澄んだ髪の毛が、海底のような暗い青色に見えます。 さらには、いつもの奇麗なエメラルドの目に、影が覆っているように見えます。 仕方ありませんね。本来、このような事はしたくないのですが、他ならぬ、大切な友人の為です。 「そうですよね。かがみさんは意地っ張りな所がありますしね。」 「ゆ、ゆきちゃん?」 「それに、泉さんにはいつも辛く当たりますから、泉さんが怒るのは当然かと、思います。」 「それ違うよ、みゆきさんっ!意地っ張りなのは、ちょっと素直になれないだけだよ!私に辛く当たるのは私を本当に想ってくれてるからだよ!かがみは悪くない!本当は私が悪・・・」 「はい、知っていますよ。今丁度その台詞を言おうと思っていました。」 「・・・ふぇ?」 計算・・・もとい思惑通りに事が運びました。それにしても、泉さんを見てると感慨深いです。 「泉さんはもう、何をするべきか分かっていらっしゃるようですね。」 「・・・みゆきさんには勝てないな。うん、帰りに謝らなきゃ。ありがとー、みゆきさん!つかさも、昨日はありがとね。」 初めて見た時のクールな泉さん、大声でかがみさんを擁護した泉さん。 人間ってこんなに変われるのだと、驚きと感動で満たされます。 人間の、かがみさんと泉さんの力は素晴らしいな、そんな風に思います。 きっと、このケンカと仲直りを通して、もっと変わるのだと思います。もちろん良い方向へ。 ‐‐‐‐ キーンコーン・・・カーンコーン・・・ よっしゃ!やっと昼休みだぜ。授業分からない、早く部活したい。でも時間はそんなに早く過ぎない。 「あやの、早くメシ食べよーぜ!腹減った。」 「うん。柊ちゃん、今日はどうするの?」 「うっ・・・えーとじゃ今日は一緒に食べていいかな?」 「もちろんだぜ!じゃ早く柊も準備しろ!」 今日は珍しい事ばっか。柊が私とあやのと食べるのは久しぶりだ。 最近はあのちびっこや妹やメガネさんの所で食べてるから。だからちょっと寂しいのは言うまでもない。 でも、今日の柊を見てる方がもっと寂しい。いつもの柊じゃない。 「なぁ、柊ぃ?」 「何?ミートボールはあげないわよ?」 「・・・最近太ったか?」 「ち、ちょっとみさちゃん?」 「・・・そうかもね。ダイエット、しなきゃ。」 あー、絶対違う。こんなんじゃねーもん。私の知ってる柊はもっと、こう、言葉に表せないけど、もっとすげーのに。 「ポッキーばっか食べてるからだぞー?」 「みさちゃん?」 「うん・・・ちょっと気を付けなきゃ。」 ・・・つまんねー。こんな柊、嫌だ。やっぱケンカが原因か。 あのちっこい奴と一緒に暮らすようになってからの柊が、なんとなく悔しいけど、ちっこい奴と仲良い時の柊の方が、いい。 「うあぁぁ!もー、じれってーなー。ウジウジしやがってっ!柊はウサギか?」 「はぁ!?いきなりキレてなによ?」 「・・・あの、みさちゃん、頭大丈夫?」 頭は悪いさ。それがなんだってんだ? 不器用で、ヴぁカでもなんでもいい。ただ、ちょっとちっこいのと、柊の間を繕ってあげたいだけ。 ちびっこと一緒にいる時の、元気で光ってる柊に戻してやりたいだけ。 「あのな、ケンカした事を後悔したってどうにもなんねーだろ?肝心なのは仲直り!いつまでもそのままじゃ、つまんねーだろ?」 「・・・うん。」 「じゃ、私からの宿題。明日までに仲直りしろよ?いいな?約束だからな?」 「・・・日下部って結構良い奴なのね。」 「だろ?」 「ありがと。なんかあんたを見てたらなんとなく元気出た。」 「泉ちゃんと仲直り、できるといいわね。」 「そう、ね。よく考えたら、私が悪いんだし、ちゃんと謝らないと。」 「頑張れよ、柊。」 感謝しろよ、ちびっこ。仲直りできたら、私のおかげだからな。 ‐‐‐‐ キーンコーン・・・カーンコーン・・・ 私の闘いの幕開けを知らせるチャイム。 「じゃ、つかさ、みゆきさん、行ってくる!」 「大丈夫だって!頑張ってねこなちゃん。」 「ちゃんと4人で帰りましょうね。」 かがみのクラスまで走る。頑張れ、こなた。初めての、ケンカ。だからこそ、早く仲直りしたい。 霧がかかっているように、雨が降っているように、光が差し込まないように。 こんな気持ち、もうたくさんだ。普通に戻りたい。一言、かがみに告げて、光を浴びたい。 そんな事を思っていたら、大きな衝撃と共に床に転ぶ。誰かとぶつかってしまった。 「あいたた・・・ごめんなさい・・・ってかがみ?」 「あ、こなた・・・」 ごめん。ごめんなさい。許して下さい。私が悪かったよ。頭では分かっているのに、言葉にならない。とんだヘタレだ。 「ごめんっ!」 「・・・え?」 不意に私に響く声。かがみの『ごめん』が、風鈴の音のように、私の中で奇麗に響く。 「あ、あのさ、昨日の事!ごめん・・・落ち着いて考えたら、私が悪かったわ・・・ごめんね、こなた。」 「かがみ・・・」 「それに・・・ケ、ケンカしたままじゃ・・・嫌、だしさ・・・」 やっぱり、私の太陽は此処にあった。日差しがとても温かい。霧が、雨が、晴れてゆく。跡形もなく、晴れてゆく。 「ふっふっふ。謝りながらもさりげなくデレるかがみ萌え。」 「うるさいっ!そーやって茶化すから謝りたくなかったんだよ!」 憎まれ口。ちょっと怒ったような台詞。それでも、さりげない笑顔。私の大切な居場所。 「ごめんね、かがみん。」 「いいのよ、私も悪かったんだしさ。」 私も今日初めての笑顔をかがみに贈る。初めてのケンカ。初めての仲直り。今だけを見ると、こういうのも悪くない。 「こなちゃーん!お姉ちゃん!仲直りすんだ?」 「ごめんね、つかさ、みゆき。心配かけちゃって。」 「結局、ケンカの原因は何だったのですか?」 下らない事で笑い、なんてことない事でケンカした。そんな初めてだらけの1年間。次の年は何があるのだろう? 「・・・何だっけ。こなた、覚えてる?」 「・・・てへ。忘れちゃった。」 「ぷっ・・・私達らしいわね。」 親友が出来ました。名前はつかさに、みゆきさん。とてもいい人達です。 同居人が、無くしたくない人になりました。名前はかがみ。私の太陽。 毎日が幸福です。さぁ、明日はどんな幸福があるのかな? コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-01-04 16 43 13) 良いラストですね!GJ!! -- 名無しさん (2021-04-05 00 16 34) 本当周りの人間に恵まれてるよなこの二人。人徳か。 -- 名無しさん (2013-01-12 12 00 32) いい生活送っていますね♪ -- かがみんラブ (2012-09-17 05 18 07)
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「ふうっ、侵入成功っと!」 草木も眠る丑三つ時、私は柊家のかがみの部屋に侵入していた。 えっ、何でそんなことをするのかって? クリスマスだからさ! まあ冗談はそこそこにしといて。 あれは数日前のことだったよ・・・。 冬休みを目前に控えたとある日の昼休み。 私達はいつものように4人で昼食を食べていた。 そこで行われた、とりとめのない話の1つがきっかけとなった。 「そういえば、もうすぐクリスマスだよね~」 「もうそんな時期か~。1年って過ぎるのはやいわよね」 「そもそもクリスマスというのは(ry」 つかさ、かがみ、みゆきさんの話を耳に入れつつ、例のごとくチョココロネをほおばる私。 口の中に入れていた分を飲み込んでから、私は気になっていたことを聞いてみることにした。 「ねえねえ、みんなは今年サンタさんに何をお願いするの?」 そう言ったら、みんな少し変な顔をした。 何か変なこと言ったかな? 「ちょっとこなた、この前サンタさんはいないって話したばかりじゃない。まだ信じてたの?」 「そもそもサンタクロースというのは(ry」 私の言葉に早速突っ込むかがみ。 「それはそうなんだけどさ、サンタさんへのお願い考えるのってさ、何か楽しくない?私は毎年やってるんだけどな~」 「あ、それわかるかも~。ほしい物を書いた紙を枕元に置いて眠るのって、何だかドキドキするよね~」 「うんうん、あとあれだよね、靴下!ゆーちゃんとかがちっちゃな靴下を用意する姿って、絶対萌えるしね」 「私ね、子供のころおっきな靴下を自分で作ったこともあるんだよ?」 「そもそもクリスマスの靴下とは(ry」 いつものように共感してくれたつかさと靴下談議を始める私。 やっぱり似たもの同士なんだよね~、私達って。 「全く・・・そういうのは小学生くらいで卒業しなさいよ」 冷めた感じで発言するかがみ。 なんでそこまで現実的なのかなあ・・・?ちょっとは夢見ようよ。 「あれ?でもお姉ちゃんも確か去年は枕の下に・・・」 「!!!ス、ストップつかさ!それ以上言うな!」 顔を真っ赤にしてつかさの口を塞ぐかがみ。 前言撤回、かがみも夢見る乙女だねえ~♪ 「ふっふ~ん、かがみんもそうなんじゃん♪全く可愛いなあ♪」 「と、ところでこなたはなにをお願いするの!?サンタさんに!」 ここぞとばかりにからかおうとしたが、本題に戻されてしまった。 かがみ弄りを生きがいとしている私としては、少し不満だ。 なので、 「そうだなあ・・・。う~ん、かがみんが欲しいかな~?」 と言ってみた。 「な、ななななな何言ってんの!?そ、そそそそそそんなの、む、無理に決まってんじゃない!」 「あははは、かがみん顔真っ赤だよ~」 この後もしっかりかがみをからかったんだけど、この時聞けなかったんだよね~、かがみは何が欲しいのか。 大好きなかがみんのためだ、私が一肌脱ごうではないか! そう思い、こっそりと忍び込んでみました。 まあ、つかさに協力してもらってるんだけどね~。 ちょっと探りを入れてみると、どうやらかがみもつかさも、毎年ほしい物を書いて枕の下に置いておくらしい。 そのつかさには既にプレゼントを渡してある。 バルサミコ酢であそこまで喜ばれるとは思ってなかったけどね。 ちなみに今の私は、バイト先から拝借してきたサンタ服を着込んでいる。 こういうのは雰囲気が大切だからね~♪ そんなことを考えながらゆっくりと寝ているかがみに近づく私。 何か夜這いしてるみたいだ。 「zzz・・・」 静かに寝息を立てるかがみは、私が男だったら襲いかかってしまいそうなくらい可愛い。 「それじゃ、お邪魔しマース、と」 起こさないように注意しつつ、枕の下にあった紙を引っ張り出そうとした。 そして取り出した瞬間! 「こなたああああああああああああああああ!」 「ひゃああああああああああああああああ!?」 かがみに抱きつかれた。 起こしてしまったらしいけど・・・どうしてそんなにガッチリ抱きしめるの!? 「ちょっ、かがみ、は、離して・・・」 家の人を起こさないように静かに話す私。 しかしかがみは聞いていない。 「ああ、もうっ♪まさか本当にこなたがもらえるなんて!サンタさんにお願いした甲斐があったわ!」 急いで手の中にある紙を見る。 ああっ、本当に『こなた』って書いてあるし! 私がこの前言ったのは冗談なのに~! ってゆーか、かがみのテンションおかしくない!? ま、まさかこれが噂のクリスマス・マジックってヤツですか!? 「しかもこなたがサンタさんの格好を!こんなサンタならいくらでも信じられるわ!」 「うひゃっ?どこ触ってんのさ・・・ちょっ、そこは・・・ふわあっ!?」 体のあちこちを触ってくるかがみ。 こ、これ以上はマズイ。早く抜け出さないと聖なる夜が性なる夜になってしまう! 必死に逃げようとする私。しかし、 「こなた・・・」 「んんっ!?」 「んんっ、はむっ、んちゅ、ん・・・、ちゅうううううっ」 「ああんっ、ふわあああああ・・・・」 かがみにディープキスされてしまい、全身の力が抜ける。 上手すぎだよかがみん・・・一体どこで覚えたのさ・・・。 抵抗出来なくなった私は、気がつくと服を脱がされてしまっていた。 「さて、それじゃあいっただっきまーす♪」 「や、やめてかがみん、落ち着こう、ね?」 「こーなたああああああああああああああああ♪」 「無視ですか!?ってそこはあっ!うにゃああああああああああああああああああああ!?」 こうして私のサンタ大作戦は、私自身がプレゼントとなる形で幕が閉じた。 うう、何でこうなるんだろう・・・。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-16 17 32 40) 性なる夜… ぶっちゃけ現実でもそうだよね(リア充限定) もう今年もそんな時期だな -- 名無しさん (2013-11-30 19 23 47) この作者様のオムニバス・シリーズは、お話によって”百合こなた”と”ノンケこなた”の どちらかになるんですね。 連作を通して読むときは気をつけないと… -- 名無しさん (2011-05-05 07 09 19) みwikiさんカワイソwww -- 名無しさん (2011-03-30 17 58 25) 性なる夜...いいかも -- 名無しさん (2010-07-30 15 43 11) かがこなのかがみは必ず壊れる件 -- 名無しさん (2009-11-12 05 51 20) 性なる夜&うにゃあああああああ!?・・・・腹痛いGJ -- kk (2009-10-27 23 13 20) シカトされてるみwikiカワイソス -- 名無しさん (2008-05-18 02 34 06) テンション高ッ!!! -- フウリ (2008-04-02 12 28 53) ナイスかが×こな。 -- 名無しさん (2008-01-08 19 39 20) みゆきワラタ 続きが気になるw -- フグ (2007-12-28 18 55 24) みゆきwwwww やはりこな×かがはおもすれー(^ω^) -- らはある (2007-12-27 23 03 19)
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可愛いなとか。優しいなとか。一緒にいるのが当たり前で、いないとなんだか物足りなくて。離れたくないし、手放したくないって思った。 笑ってほしい。笑顔が見たい。ずっとそばで笑っていたい。 好きって気持ちを家族愛とか友情とか、恋愛ってやつに分類するとしたら。間違いなく私はかがみに恋している。 だから好きって言ってもらえて嬉しいし、付き合ってほしいって言葉にも頷けた。 今までも、これからも。ずっとかがみの隣は私の場所なんだって思えたから。 珍しく早起きした朝、いつもとは反対に柊姉妹を待つ。 通学の時間帯だから学生服の若者でごった返してる。朝から堂々といちゃついてる人もいたりするのかな。 以前なら冷やかし気味にちら見する程度だったけど、なんとなく青春のワンシーンに目が行く今日この頃。 間違ってもバカップルにはなりたくないけれど。 そもそも女同士だからカミングアウトもし辛いし、友達感覚が染み着いてて緊張とかドキドキとかもわからないまま。 付き合って何をするんだろう。なんて言うのはゲームとか色々で見てきた世界だし、知らないふりはしないけど。 そこに自分とかがみを当てはめ……るのは、恥ずかしくて無理。 そんな悶々としてること自体何より恥ずかしい気がする。時間を確認、結構経ってるじゃん。 もし今かがみたちが来たら、と思い自分の顔色を窺ってみたいけど、手鏡なんてものは普段の私は持ち歩かなかった。 家を出るときとか、最近絶対に時間かかりすぎてるってわかってる。いっちょ前に女の子してる、って昔の私が笑ってるかな。 でもそんな今の自分がわりと好きだったりするんだよね。 「おはようこなちゃん」 「おはよ。どうしたの、珍しく早いじゃない」 らしくなく考え事に耽っているうちに二人がやってきた。悟られないようにすぐ返さないと。 「おはよう。たまには早く来てみたらそんな言い種なんて、つれないねかがみんや」 「そんなの普段のあんたの行いのせいよ」 「つかさー、かがみが朝からいじめてくるよぅ」 ちょっとオーバーにつかさに泣きつく。少し苦笑いを浮かべながらもよしよしって頭を撫でてくれる。癒されるねえ。 「あ、ちょっと」 「どうしたの、お姉ちゃん」 「……別に、なんでもないわよ」 つかさに甘えた時のかがみの反応は今までにないものだった。 名残惜しいけどつかさから離れて、そっぽ向いてるかがみのほうに歩み寄る。からかいたい気持ちもあるけど、ほんのちょっと変化を加えてみようかな。 「かがみに早く会いたかったから」 本音は伝えたい人にだけ聞こえてればいい。そっと耳に寄せて囁いた。 みるみるうちに赤く染まるかがみの顔。忙しなく動いているけど言葉にならない口元。やっぱりかがみは可愛いねえ。 とは言えこのくらいでさ。告白してきた時の大胆さはどこへやら。 「わ、私だってこなたの……」 何か言いかけて結局口をつぐんだ。首をかしげて促してみる。 「その殊勝さもどれだけ続くことかしらね」 「いや、かがみ違うでしょ。さっき何を言おうとしたのさ」 「もうすぐバス来るわよ」 そう言って乱暴に私の頭を撫でる。ピンと背筋の伸びた立ち姿はキレイでカッコよくて。何か誤魔化された気がするのに追求ができなくなる。 じっと見上げていると不意に目が合った。 常識的で堅苦しい、照れ屋で怒りっぽい、そんなの全然違くて。 優しく微笑んでみせる。特別なんだって。 どんな顔で応えたらいいんだろう。かがみみたいな笑顔ができる自信なんてない。 見られたくなくて俯いて、でも見ていたくて顔を上げる。照れくさくっても構わない。好きなんだって気づいたから。 かがみが笑うと私まで嬉しくなる。私が笑えばかがみも笑ってくれるなら、いつだって笑顔でいたいと思った。 のんびりまったり昼休み。授業の間の短い休み時間じゃかがみは顔を出してくれなかった。 「おーっす、来たわよ」 何事もなかったようにやって来て、ほっとする反面ちょっと面白くない。そんな内心を隠してかがみを迎え入れる。 「もー、遅いよかがみ」 「悪い悪い、ちょっと日下部にしつこく絡まれてさ。普段はそうでもないのに、なぜか今日に限って」 なんでだろう、野生の勘みたいな?だけど残念だったねみさきち、一足遅かったみたいだよ。 「みさきちの必死の懇願も笑顔でスルーしてきたわけだね」 「そんな真似するか。誰かさんがずっと待ってるからって言ってきたのよ」 「つかさ、いい加減お姉ちゃん離れしないと」 「えぇ!?そんなことないよぅ」 「……もうあんな顔するんじゃないわよ」 私の頭を小突きつつ小声でぽつり。 「えっ?」 「遅くなって悪かったわね、みゆき。さあ食べましょ」 「いえ、そんな。皆さん揃っているほうが美味しいですからね」 いただきます、と手を合わせる三人。あれ、私置いてけぼり。 ちらりとかがみを見るけど、もういつもの食欲魔神(は言い過ぎかな)で美味しそうにお弁当を食べ進めていた。 最近のかがみは勘が鋭くなった気がする。主に私限定でってずるい。 「なに、欲しいの?」 「いやいや、つかさが作ったのならともかく、かがみ作じゃねえ」 いつもの調子で答える。本音を言えば味じゃなくてかがみが作ったってことに意味があるんだけどね。 「悪かったわね。と言うかあんたこそ、最近全然弁当作ってこないじゃない」 「まあ最初は姉の威厳ってやつもあって頑張ってたんだけどさ」 ゆーちゃんもすっかり一人でできるようになっちゃって。私は以前のようにゆっくり寝ていられるのでいいかな、と。 「もったいないよこなちゃん。せっかく料理できるのに」 「急にどしたのつかさ」 「食べてくれる人のこと考えながら料理するのって楽しいよ。お姉ちゃんもそう思わない?」 「私はどっちかと言うとつかさにがっかりされたらやだな、ってプレッシャーのほうが」 「思うでしょ?」 「ええ、つかさが美味しいって言ってくれたらすごく嬉しいわね」 珍しくかがみがつかさに押されていた。何事ですか、とみゆきさんに視線を投げても聖母の如き微笑み。 つかさがいつの間にかこっちに戻ってきていて、見たこともないような真剣な表情で。 「だから、こなちゃんもお姉ちゃんにお弁当作ってあげたらいいと思うんだ」 「はい!?一体どうしてそんな結論が?」 「お姉ちゃんも、こなちゃんの手作り食べたいでしょ」 「そ、それはその……食べたいかな」 照れながらも素直なかがみ萌え。なんて言う余裕はあるはずもなく。 「ね、こなちゃん」 「泉さん」 「えぇ!?なんでみゆきさんまで」 ちょ、なにこれ。どういう展開。 大好きな彼のために頑張ってお弁当作ってきましたとか、そういう感じ?私のキャラじゃないよ、勘弁して。 常識人のかがみに期待してみたけど。 「こなた」 呆れてたり怒ってたり、色んな声音で呼ばれてきた私の名前。いつでも感情が込められていて、呼ばれる度に私の心臓が小さく跳ねる。 優しく、はっきりと私に届けられる言葉。かがみが真っ直ぐに私を見つめる。 目が離せない。思考が止まったみたいに。確かなことが一つ。私はかがみが大好きだ。 「それだけお願いされちゃ仕方ないね。わかったよ。でもあんまり期待しないでよ?」 「こなちゃん、つんでれ?」 「つ、つかさ何言ってんの!?」 「おお、まさしくあんたの言うツンデレってやつよね」 「ちょ、かがみ!みゆきさんもなんか言ってやってよ」 「ふふ、泉さんもかがみさんも幸せそうですね」 みゆきさんまでなんてこと言い出すかな。いや、間違ってはないんだけどさ。 かがみも、こういう時は真っ先に否定してたのに。笑ってないで。可愛いけども。 「もうお姉ちゃんとこなちゃん、付き合っちゃえばいいのに」 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-12-01 20 20 51) GJ! -- 名無しさん (2017-04-22 23 26 56) やったー! 新作キタ~ -- kk (2014-09-14 23 20 26) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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◇ 「ごちそうさま」 「ごちそうさまでした」 「おそまつさまでした~」 お父さんとゆーちゃん、そして私の声が静かな居間に響き渡り、 今日もまた騒がしい一日が始まる。 こうやって朝食の席に3人揃ったのって、久しぶり。 休みに入って以来だから、1週間ぶりかな。 やっぱりみんな一緒に食べる朝ご飯っていいよね。 まったく、誰のせいで揃わなかったんだか。 ……いやまあ、それは私が寝てたのが悪いんだけどね。 「やっぱりお姉ちゃんが作るご飯はおいしいね」 「いやいや~、それほどでも~」 「ううっ、こなたが作ってくれた味噌汁が五臓六腑に染み渡っていく。 今日を生きる活力になる。お父さん感激だあ」 「ちょっ、お父さん大げさだってば」 ぶわっと感涙を流すお父さんを見てると、夏休みが始まってからずっと朝ご飯を ゆーちゃんと二人っきりにさせてたのが悪かったなあという気になる。 「私もいつかお姉ちゃんみたいに料理が上手くなりたいな」 「これぐらいならゆーちゃんもすぐできるようになるよ」 「そうかなあ?」 「ほんとだって。勉強会が終わったら簡単な朝ごはんの作り方教えてあげるから」 「ほんとに? ありがとう!」 満面の笑みを浮かべて嬉しさを表すゆーちゃんはほんとに可愛いなあ。 そんなに嬉しそうにされると、さすがの私も照れくさい。 でもこうやって頼りにされるのも悪くないよね。 まるで本当のお姉ちゃんになったみたいで、嬉しくてくすぐったくなるから。 あっ、でも……朝食を作るとなると毎朝起きなければならないんじゃあ……。 ま、でもそれぐらい仕方ないか。 きらきら目を輝かしてるゆーちゃんの前で今さら断れないしね。 「じゃあ、私出かける準備しなくちゃいけないから、部屋に戻るね」 「おー、行ってらっしゃい」 「後片付け手伝えなくてごめんなさい」 「いーからいーから、ここはお姉さんに任せたまへ」 「うん、ありがとう」 そう言ってぺこっと軽く頭を下げると、元気よく居間を出て行った。 「お父さん、コーヒー飲む?」 「ああ、頼む。まかせっきりで悪いな」 「いいって、気にしないで」 洗い物を片付けながら、お湯を沸かす準備をする。 このところずっと朝ごはん作るのサボってたから、たまには私もサービスしなきゃね。 お味噌汁の後にコーヒーというのもどうかと思うけど、 本人曰く「飲まないと朝が始まらない」らしい。 まっ、人それぞれだよね。 コーヒーメーカーがコポコポと楽しそうな音を奏でて、 ポットから立ち上る湯気と一緒に芳ばしい香りが部屋の中を漂っていく。 苦いのは余り好きじゃないんだけど、朝食の後に漂うこの香りはとっても好き。 だって、朝だって気分になれてすごく気持ちいいからね。 外から入る空気もまだ涼しくて、とっても爽やかで過ごしやすい。 ついでに音楽でも流れていれば、まるで喫茶店にいる気分になれそうなんだけどね。 「ねえ、お父さん。明日の勉強会なんだけど」 「んー、どうした?」 このまま優雅なカフェの中でまったりとした時間を過ごしたい気分になったけど、 私はこのところずっと悩んでいたことを思い切って聞いてみることにした。 「あの、……明日私いないから夕食当番お願いするね」 「ああ、そうだったな。分かった、まかせなさい」 コーヒーをすすりながら新聞に目を通しているお父さんは、 集中しているのか熱心に記事を次から次へと目で追っている。 こういうところはさすが作家だなと思う。 作品を作る上で役に立つ情報がないか見てるんだって、前に言ってたっけ。 ……って感心してる場合じゃなくて、こんな話をするために上等なコーヒーを 淹れたわけじゃない。 ああ、なんか話を切り出しにくい。 でも、仕方ないか。 今から話そうと思ってることは、私の将来の進路についてなんだから。 そもそもどうしていきなりこんな話をする気になったのか、 年頃のオトメの私なりにふかーい訳があるんだよ。 別に真面目になったわけでも、勉強に目覚めたわけでもないんだけどね。 でも、単なる気まぐれなんかじゃないよ。 前にかがみと電話で話したときからちょっと……ね。 夏休みに入った日だったかな、かがみが学校あると間違えて駅まで行った日。 あの日の夜、電話で話してたとき今日何してたのか聞かれて、 ずっとネトゲしてたことを言ったら呆れられちゃって。 いつものやりとりだけど、あの日はかがみとしばらく会えなくなるんだと思うと 寂しくって、少しでも優しい言葉をかけてくれるかな、なんて期待もしてたんだ。 そりゃあ、こんなぐうたらな生活を続けていれば呆れられて当然なんだけど、 かがみだけはそんな私を受け入れてくれるかなあ、なんて甘い考えがあった。 だから、心底呆れたようにため息をつかれたときには、正直へこんだ。 すぐにいつもの楽しい会話に戻ったけど、電話を切った後もずっとそのことが しこりとなって残っていて、それで色々悩んじゃったというか。 かがみと会えない間、さすがの私もこのままじゃまずいのかなー、 なんてあせってしまって、自分なりに色々考えてたんだ。 かがみは夏休みが始まってからもずっと早起きして勉強してるみたい。 何でそんな朝から勉強してるのか聞いてみたけど、恥ずかしそうに 「受験のためよ」の一点張りで、うまくはぐらかされた。 理由はよく分からなかったけど、かがみなりにしっかり目的をもって 勉強してるんだと思う。 しっかりした目的といえば、私も高校受験のときはゲーム機やパソコン目当てに 頑張ることができたけど、さすがに大学受験となると話のスケールが変わってくる。 これまで大学なんて意識したこともなかったけど、かがみ曰く 「もう受験は始まっている」らしい。 やっぱりかがみのように具体的な目標があると、勉強も頑張れるのかな。 でも、じゃあ何をしたいとか、何になりたいとかの目標の無い私はどうなるんだろう? 前に学校の進路調査で団長とか南斗神挙伝承者なんて書いたこともあって、 あれは確かに受け狙いもあったんだけど、ほんとは自分が何をしたらいいのか 分からなかったんだ。 漫画やアニメやゲームは大好きだよ。 でも、それとは違う、将来私のやりたいこと、なりたいものって何なんだろう。 『──は晴れ。蒸し暑い一日になるでしょう』 「……あ、明日晴れるんだ。良かった」 少し考え込んでいた間に、テレビの画面の中が難しい顔をしたニュースキャスターから 快晴の笑顔を振りまく天気予報のお姉さんに替わっていた。 ああダメダメ、最近こんな風に考え込んじゃうことが多いよ。 しっかりしなきゃ。 「あの、お父さん」 「んー?」 「勉強……会の話なんだけど」 さて、ここからどうやって話をつなげよう。 いきなり進路の話なんかすると驚かれそうなので、まずは勉強会の話からと 思ったんだけど……改まってこういう話をするのって難しい。 そういえば、これまで私から勉強とか将来の進路についてお父さんに 話をする機会なんてほとんどなかった。 高校を受験するとき以来だろうか。 みんなはお家でこういう話をどうやってしてるんだろう? 「そうだ、明日の夕飯なんだが、冷蔵庫にカレーの材料残ってたかな?」 どうやって進路の話につなげようかと考えあぐねていると、 お父さんが先に話しかけてきた。 「えっと、野菜室の奥にじゃがいもとにんじん入ってるから使って。 たまねぎは下の段にあるから。今日は私が代わりに料理当番するね」 「ああ、頼んだ。よーし、明日はゆーちゃんのために久しぶりに お父さん頑張っちゃうゾ」 朝からやたらとみなぎってるお父さんを見てると、ますます話し辛い。 はぁ、最近の私は少し変だ。 そりゃあかがみに言わせれば私はいつも変なのかもしれないけど(ひどいよね?)、 そういう意味の変じゃなくって。 このところ気になることが多すぎて、ずっと熱中していたネトゲにも身が入らなくなったんだ。 いざ狩りに行かんとログインしても以前ほど楽しめなくて、集中せずプレイしてたら パーティーが全滅しちゃって、黒井先生に「気合入ってないんちゃうか?」と活を入れられた。 深夜にゲームに熱中してる学生に対する先生の台詞としては色々突っ込みどころ満載なんだけど、 確かにボーっとしていつものように気合が入ってなかったなあと思う。 でも、しょうがないよ。 これまであまり使うことの無かった携帯が気になって、そっちばかりちらちら見てたんだから。 まるで今にもかがみから電話がかかってきそうに感じて……ね。 こんな風になったのはいつからだろう。 やっぱり──夏休みが始まってからかな。 「じゃあ、明日お願い。私がいない間にゆーちゃんに変なことしたらダメだからね」 なんとなく話し辛い雰囲気から抜け出したくて、冗談めかして言ってみた。 「ははっ、何を言うんだ、こなた。大船に乗ったつもりで勉強会に行ってきなさい」 「なんか嘘っぽいよ」 ──はぁ。 やっぱり言いにくい。 もうこの話は止め。 また今度でもいいよね。 今日は朝から何しよう。 夏休みのまだ始まって1週間ぐらいしか経っていない時期に、 私がこんな朝早くから起きることなんてこれまでなかった。 去年ならネトゲで深夜まで狩りをしていて、レアアイテムが手に入りそうなときには 鳥のさえずる声が聞こえてくるなんてこともよくあったのに、 今年はそこまでやろうって気がしないんだ。 自分でも怠けすぎたかなと思うことはあったけど、 レアアイテムを目の前にした時の手に汗握る感覚はほんと時間を忘れさせる。 ネトゲをやったことのある人には分かってもらえるよね? はぁ、こうやって休みの日ならいつも寝てる時間に起きると、 なんだか学校へ行く気分になる。 それも悪くないかなぁなんて思ってる私は、どこかで変なものでも食べちゃったのかな。 「お父さん、コーヒーのおかわりいる?」 「ああ、頼むよ」 カップにコーヒーを淹れながら、チラッと新聞をのぞき見る。 大きな紙に所狭しと文字が詰まっていて、よくこんなのに集中できるなあと思う。 お父さんは相変わらず新聞に釘付けで、こっちをほとんど見ようともしない。 ちょっとぐらい私の気持ちに気付いてくれてもいいのに、そんなのどこ吹く風って感じだ。 あ、そうだ、お父さんったら酷いんだよ。 今朝会ったとき休みの日に早起きした私がよっぽど珍しかったのか、 「そうか。こなたもついに真面目に」なんて言いながら、 感極まったように抱きつこうとしたりして。 そんな失礼な態度におなかの辺りをつねってやったら、ぎゃあっと飛び上がってた。 ふんっ、私だってたまには早起きぐらいするし、悩んだりすることもあるんだよ。 でも、……やっぱり朝ずーっと起きてこない私を心配してくれてたんだよね、きっと。 それに寂しい思いもさせてたのかな。 「じゃあ、私部屋に戻るね」 そんな朝の出来事を思い出したせいか、部屋から出るのがすごくためらわれた。 私が出て行ったら、またお父さん一人部屋に残ることになるから、 もう少しかまってあげた方がいいのかな。 「こなた」 「えっ、なに?」 どうしようか悩んでいると、私を引きとめるようにお父さんが声をかけてきた。 「お父さんの勘違いかもしれないが、何か言いたいことがあったんじゃないのか?」 「あっ……」 お父さんってずるい。 いつもはヘラヘラして私のことを心配しているような素振りを全然見せないくせに、 本当はちゃんと私のこと見てくれてるんだから。 「うん、ありがと。でも大丈夫だから」 お父さんはしばらくじっと私の目を見つめた後、またいつもの笑顔に戻って言った。 「そうか。色々不安な時期かもしれんが、思い詰めないことだ」 「うん」 「それに」 「ん?」 「お父さんはいつでもこなたの見方だからな。困ったことがあるなら、 いつでも言いなさい」 「……うん」 そう言ってくれたお父さんの心遣いに、胸がすうっとしていくのを感じた。 お父さんをかまってあげなきゃなんて思ってたけど、ほんとは私の方が かまってもらいたかったのかもしれない。 飾り気が無くて、とてもきざで、お父さんらしい台詞。 そんな台詞が、今ならとても素直に受け取れる。 ──ありがとう、お父さん。 ◇ 居間を出て部屋へ戻ろうとすると、ちょうどゆーちゃんが玄関で靴を 履き替えているところだった。 もっと遅くに出かけるものだと思っていたのに、ずいぶんと早いんだ。 「もう出かけるんだ」 「うん、少し早いけど待ち合わせの時間に遅れちゃったら困るから」 「待ち合わせは何時だっけ?」 「9時だよ」 さっき時計を見たときは、8時を少し過ぎたぐらいだったのに。 「待ち合わせ場所って、そんなに遠いの?」 「ううん、糟日部駅だよ。そこで田村さんたちと待ち合わせしてるんだ」 「ふーん。でも今からだと、早く着きすぎない?」 「うーん、確かにそうかも」 家からだと歩く時間を合わせても30分あれば着くはずだ。 「でも途中で気分悪くなったら遅れちゃうかもしれないし、早めに出た方が いいかなって。それにね、少し早めに着いて待っていたいんだ」 なるほど、そういうことですか。 「みなみちゃんだね?」 「えっ、べ、別にそんなことないよ」 そこで慌てたら、はいそうですと言ってるようなもんだよ、ゆーちゃん。 「好きな人は待っていたいものだからねえ」 「もう、そんなんじゃないもん」 私をポカポカと叩きながらも、顔がゆるんじゃってる。 ほんと嬉しそうで、うらやましい。 「ところでどこまで遊びに行くの?」 「ショッピングをした後、田村さんが池袋にあるいい所に連れてってくれるんだって」 「いい所ねえ」 ひよりんが連れて行きそうなところというと、例の通りか。 「じゃあ、そろそろ行くね」 「おー、行ってらっしゃ~い。ゆっくりデート楽しんできてね~」 「むうっ、行ってきます」 少し怒った表情の中にもはにかんだ笑みを浮かべて、嬉しそうに出かけていった。 ああ、ゆーちゃんは今日オタクの階段を上るんだね。 たくましくなって帰ってくるんだよ。 再び一人になって部屋へ戻ろうとすると、さっきのゆーちゃんの 嬉しそうな顔が目の前をよぎった。 ──嬉しそうだったな。 夏休みが始まってから、かがみたちとはまだ一度も会っていない。 これまでの長期休暇でしばらく会わないことなんて何度もあったのに、 今年の夏はずいぶん長く感じてしまう。 ──もう一週間になるんだ。 日曜日が終わって学校へ行って、そしてまた日曜日になるまでの長さ、 夏休みの約五分の一を占める期間。 「長いよね、一週間って」 誰にとも無く呟いた声は、人気の無い廊下に静かに吸い込まれていった。 「さーて、宿題でも片付けますか」 部屋へ戻ると、かがみが聞けば目を丸くしそうな台詞を言いながら勉強机に向かった。 ほんとは宿題なんてしたくないんだけど、これまでと違うことをして 気分を入れ替えたいのもあったし、さっき進路の話をしようとしていた手前 やっぱり勉強しなくちゃという気になった。 せっかくの長期休暇なんだから、ずっと遊べればなあと思うんだけど、 現実はそうもいかないらしい。 学校で毎日勉強してたんだから、休みの日ぐらい勉強から開放して欲しいよね。 机の上には夏休みに入って以来放置されている教科書やノートが うず高く積み上げられている。 やらなくちゃと思いながらも見て見ぬ振りをしてきた宿題たちは、 まるで私をあざ笑うかのように、その高さを誇らしげに見せ付けていた。 恨めしげにその宿題の山を見つめながら、去年のことを思い出す。 去年は夏休みの終わりまで放置し続けて、結局休み明けに徹夜でやるはめに なってしまったんだ。 提出できなかった宿題のせいでさんざん先生にお説教をくらったし、 宿題を見せてくれるようかがみに泣きついて迷惑かけたから、 今年ぐらいちゃんとやらなくちゃならない。 それに、明日の勉強会にまっさらなノートを持っていくとかがみに怒られそうだから、 ちょっとぐらい進めておかないとね。 「ま、文句ばかり言ってても始まらないか」 覚悟を決めて、宿題の山の中から適当に本を引っ張り出した。 くじのように引き当てた問題集を開くと、目に飛び込んでくる文章の山、山、山。 国語の長文問題だ。 「……この問題は後回しでもいいよね」 少し冷や汗をかきながら、簡単な漢字の問題から解くことにした。 こういう単純に知識を問うような問題は、ゲームとかでもよく出てくるから 意外と抵抗無くできちゃうんだよね。 難しい漢字もネットで検索すればすぐに調べられるし、便利なんだ。 そういえば前にそのことをかがみに話したとき、辞書を使うべきで ネットで検索するのはよくないって言われたことがある。 別に辞書でもネットでも調べるのは同じじゃんって言ったら、 ネットだとつい別のサイトをのぞいてしまって勉強に集中できないからダメなんだって。 まるでゲーム機のようなものだね、勉強机の側にゲーム機があるとそれが気になって 宿題できない気分。 確かに私もちょくちょく勉強とは関係ないサイトを見ることがあるからよく分かる。 あと、勉強は本と鉛筆があればできるとも言ってた。 ようは心構えの問題らしい。 かがみってそういうところはとてもこだわるんだよね。 じゃあ電子辞書はどうなるのって聞き返したら、言葉に詰まっちゃって。 あれはいいのよなんて言ってたから、その辺の基準もよく分かんないよね。 一通り簡単な問題ばかり解き終えて問題集に目をやれば、 当たり前のことながら苦手な長文読解の問題ばかり残っていた。 ……まあ、なんだ、がんばれ私。 小一時間ほど問題集とにらめっこしながらうんうんうなっていたけど、 結局集中力が続かなくって、設問を埋めることがほとんどできなかった。 はぁ、大体書いてる内容が全然面白くないんだよ。 ほんとにみんなこんな長い文章を最初から最後まで読んで理解してるのかな? 古い小説の真面目くさった主人公が出てきたり、どこかの偉い先生の書いた難しい本の内容だったり、 文学論がどうだったりと、……そんなのお父さんに聞いてほしいよ。 最近は本屋さんとか行くと漫画で解説してる本があるんだから、 それと同じように長文問題も漫画で描いてくれたら読み解く自信があるんだけどね。 でも、そうなると絵を描く人が大変なんだろうな。 もっとこう、心を揺さぶる冒険話とか問題に載せてくれると私でも集中できると思うんだ。 それだったら私でも退屈せずに読めそうな気がするんだけど……あくまで気がするだけだけどね。 手始めに明日かがみに読みやすいラノベ貸してもらおうかな。 そんなことを考えていると、強い日差しが部屋の中に照りつけて、 私の集中力をさらに奪っていった。 結局半分以上真っ白なままの問題集を前にして、再びため息をつく。 これだけ時間かけても全然進まないなんて、やっぱり私ってダメな子なのかな。 その点、かがみはいつも勉強をずっと続けていて、すごいなって思う。 以前かがみのクラスの前を通りかかったとき、普段私のクラスでは見せないような きびきびとしたかがみの姿を見たことがある。 私の知らない人に勉強を教えてるみたいだったから話しかけなかったんだけど、 かがみはその人にすごく感謝されてた。 凛としていて、背筋もピンと伸ばして真っ直ぐ前を見つめている姿がすごく かっこよかったんだ。 そんなしっかり者のかがみに比べて、私はどうなんだろ。 いつもはかがみに教えてもらったり、こっそり盗み見て怒られたりしながら 宿題をやっていたから、こんな私でも困ることは無かった。 でも、これから一人でやっていかなければならなくなったとき、 私はどこまでできるんだろう? たったこれだけの宿題でつまずいてる私は、この先一人でやっていけるんだろうか? みんなに頼りにされるかがみと、不真面目で落ちこぼれな自分。 目標を持ってそれに向かって頑張ってるかがみと、将来何をしたいかも分からない私。 よく考えてみれば、これほど不釣合いな組み合わせも無い。 ──私、かがみの側にいてもいいのかな。 日も昇り蒸し暑くなった部屋の中で、私はブルっと震えた。 かがみの側にはもっと相応しい人がいるんじゃないかって、これまで当たり前のように 与えられてきた居場所を突如奪われたような不安に、胸が締め付けられた。 勉強のこと、将来のこと、そして……かがみと私との関係。 これまで考えないようにしてきた不安が次々と浮かび上がってきて──。 『ブーッブーッブーッ』 ベッドの上に放置していた携帯の振動音に、私はハッとした。 慌てて取りに行くと、ディスプレイにはかがみからのメールの受信を知らせる メッセージが表示されていた。 『おはよっ。ゲームばかりやってないでちゃんと起きてるか? 私はもう少しで宿題終わりそう。今日は明日の準備や掃除で忙しくなりそうだけど、 あんたも宿題頑張んなさいよ』 「……もう、分かってるよ、かがみ」 携帯のディスプレイに並ぶただの無機質な文字が、まるでかがみのノートに並ぶ 少し右肩上がりのくせのある文字のように、温かみをもって私の目に映った。 件名も書かれていないぶっきらぼうなかがみからのエール。 その一文字一文字が私の心に染み込んでゆき、それまで感じていた不安が和らいでいく。 ──かがみも今頑張って勉強してるんだよね。 前に電話したとき、朝起きて勉強してるって言ってた。 そう思うと不思議と私も頑張れる気がして、もう一度最初からゆっくり丁寧に 文章を読んでみた。 すると、さっきまで全く頭に入ってこなかった内容が、少しではあるけれど、 理解できるようになった。 ──まるでかがみが支えてくれてるみたい。 そう、いつもかがみが側で教えてくれるときと同じように、私は理解できた。 かがみの教え方が上手いのもあるけれど、それ以上にかがみが側にいてくれることが 私の心の平安を保つのに、自信や余裕を持って私らしくあるために欠かせなかったんだ。 今なら私でも問題が解ける。 そんな自分の姿をかがみが頑張って勉強してる姿に重ね合わせる。 そうすると嬉しさが溢れてきた。 頑張り屋で、照れ屋で、そして寂しがり屋なかがみ。 今私は少しでもかがみに近づけてるのかな? かがみの側にいても、恥ずかしくない私になれてるのかな? 「かがみ……」 さっきからずっとかがみが頭の中に浮かんで離れない。 すでに私の体の一部のように、違和感無く私の心の中にかがみが存在している。 でも、それは全く不思議なことではなく、むしろかがみがいないことの方が 私にとって不自然なことだった。 ──やっぱり、変なもの食べちゃったんだ。 胸がどきどきして、キュッと締め付けられたように苦しくなって、 頭の中がその人のことでいっぱいになる。 そんな目に見えなくて甘酸っぱくてほろ苦いものを、いつのまにか口にしてしまったんだ。 それを何と呼べばいいだろう? きっとくさい台詞を言うお父さんならこう例えるんじゃないかな。 ──恋という名の果実、ってね。 始まりは一歩から(3)へ続く コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-06-01 13 17 32) ありがとうございます。 そう言っていただけると、励みになります。 二人はこれからどうやってこの微妙な距離を詰めていくのでしょう。 遅筆なので次がいつになるか分かりませんが、マイペースで書いて いきますので、お待ちくださいね。 -- 18-236 (2008-12-14 01 59 28) GJ! いつもながら、SS全体の雰囲気と2人の距離感が凄くいい。 毎回楽しみです! -- 名無しさん (2008-12-13 21 21 40) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
https://w.atwiki.jp/fullgenre/pages/70.html
[名前]泉 こなた [出展]らき☆すた [声優]平野綾 [性別]女 [年齢]高校三年生 [一人称]私 [二人称]呼び捨て、○○さん [三人称]あの人 らき☆すたの主人公。 身長は142cm、利き手は両利き。胸ランクは極小。埼玉県在住。 陵桜高等学園に所属する高校生で幅広い趣味を持つオタク少女。 薄い青紫色(アニメでは水色)の超ロングヘアで大きなアホ毛がある(髪型はあまりいじらない)。 瞳の色は緑色。左目の左下に父親譲りの泣きぼくろがある。 身長をはじめ体型は小学6年生のころから変わっておらず、当時のスクール水着をそのまま着ることができる。 母親を物心つかぬうちに亡くして父親と二人暮しだったが、小早川ゆたかが高校入学と同時に泉家に下宿をはじめて以後は三人暮らし。 好きな物はチョココロネと鶏肉と萌え。 嫌いな物はもずくと、スポーツ中継や選挙速報などテレビアニメの放送に影響の出る番組。 好きな色は赤と黒。動物に例えるとキツネ(悪戯好きだから)。 [能力] 以外にも運動能力は抜群であり、本人曰く特技はアミノ式のCMの運動を全てできること。 またゲームも得意で格ゲーではほぼ無敵の強さを誇り、頭を使うタイプのゲームでも出題パターンを記憶することによってある程度の強さを獲得。これにはかがみも驚愕している。 格闘技経験者であるが、合気道系であること以外の詳細は不明。かなりの悪筆であり絵も下手。 [性格] 趣味の影響で、エロオヤジ的な思考・言動が多い(子供っぽい所もあるが)。 親や親友を含め誰に対してもかなりの毒舌ではあるが、友達思いな所もある。 基本的に身体を動かすことにもあまり興味がないらしく、その点からかがみに「肉体労働系のインドア派」だと評されたこともある。 以下、多ジャンルバトルロワイアルにおけるネタバレを含む +開示する 泉こなたの本ロワにおける動向 初登場話 001 かえして!ニチジョウセイカツ 登場話数 5 スタンス マーダー 死亡話 キャラとの関係 キャラ名 状態 呼び方 二人称 関係・認識 初遭遇話 柊つかさ 友好 つかさ 友達 未遭遇 高良みゆき 友好 みゆきさん 友達 未遭遇 岩崎みなみ 友好 みなみちゃん 友達 未遭遇 斎藤一 敵対 オジちゃん アンタ F-10東部にて戦闘 028 ルイズに届けこの想い! 才人ザオリクを唱える。の巻 平賀才人 仲間 サイト 同行者 028 ルイズに届けこの想い! 才人ザオリクを唱える。の巻 柊かがみ 友好→敵対 かがみん、かがみ 殺害する 044 幸せの星(前編) ストレイト・クーガー 敵対 ゲーム中のトラップ 044 幸せの星(前編) 園崎詩音 敵対 072 Ultimate thing(前編) 後藤 敵対 後藤 大魔王 072 Ultimate thing(前編) 踏破地域 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 A ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ B ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ C ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ D ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ E ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ F ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □ □ □ G ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □ H ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ I ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ J ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ G-10遊園地付近→F-10東部→G-10遊園地→G-10南西部→F-8→F-8民家→F-9教会→F-8民家
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物足りない帰路、さびしんぼウサギなんてからかわれているけれど、かなり的を射ているのかもしれないわね。・・・認めたくないけど。 「お姉ちゃん、こなちゃん家にお見舞い行くんだよねー?」 「一応そのつもりなんだけど、この雨だと自転車はどう考えても無理そうよね」 雨は学校にいたころより酷くなっていた。 「そうだねー、帰らないでそのままお見舞いに行けばよかったかも」 つかさが言うのも一理あるんだけど、お見舞いに行くのだから何か持っていこうかと思っていたから、こうして一旦帰ってきたのだけれど・・・どうも裏目にでたらしい。 「やっぱりお見舞いなんだから、何かもっていった方がいいかと思っんだけど」 律儀なことを言ってる気もする。前に、私が風邪でこなたがお見舞いに来たときには、宿題を写しにきただけっぽかったし・・・。 「境内の紫陽花がそういえば綺麗に咲いてたわね。あれを少し拝借して花束を作ってもっていこうかしら」 「あ!それいいね。今年はちょっと時期が早いけど綺麗に咲いているよ」 もって行くものは決まった。でもさすがに勝手に切ってしまうわけには行かない。確か、紫陽花の手入れをしているのは、母だったはずだから、母に聞いてみないと。 「おか~さ~ん。こなちゃんのお見舞いに紫陽花の花を持っていきたいんだけど、いいかなぁ?」 「お見舞いに紫陽花を?いいわ。ちょっとまってて、綺麗なのを見繕って持ってくるから」 今日のつかさはなんというか行動が素早い気がする。 それについて、感心しているうちに紫陽花の花束を母が持って戻ってきた。 それは、綺麗なライトパープルの紫陽花。土の成分で紫陽花の色は変わるというけれど、うちの境内に咲いている紫陽花は毎年、この色の花をつける。株自体がこの色の花をつけるタイプらしくて、遺伝なのだそうだけど、詳しくはよくわからない。 私とつかさが生まれたときに、新しく植えた株だそうなんだけど、どういうわけか私達姉妹と髪の色と同じ色の花が咲くらしい。今年は、例年になく綺麗なライトパープルだった。 「わぁ、今年のは一段と綺麗にないたね~」 「本当ね。凄く綺麗」 二人して褒め称えると、母が少し得意げだった。 「そうでしょう、今年は去年より綺麗に咲いたのよ、これもお母さんの努力の賜物ね、ふふふっ」 母の嬉しそうな笑みにつられて私もつかさも同じように笑顔になる。 それから、服を着替えて、さて出かけようかなというタイミングのことだった。 「くしゅんっ」 玄関にて、いざ出かけようとした所でつかさが盛大にくしゃみをしたのだ。 「つかさ、大丈夫?」 風邪のお見舞いに行こうというのに、それだけ盛大なくしゃみをされては連れて行ってよいものか迷った。 「あら、少し熱っぽいわね」 母の手がつかさの額に当てられていた。つかさはしきりに「大丈夫だよ、お母さん」と繰り返していたが、つかさがお見舞いへ行くことは却下されることとなった。 「私もやめとこうかな」 まだ、こなたとは少し気まずい。嫌な気まずさとは違う・・・けれど、どう表していいのかわからない気まずさが残っている。 胸の奥に芽を出した名もない感情は少し成長して、それが私の心をほんの少し乱しているのもその原因の所為だろう。 こなたの事を考えると胸がざわざわして、どうしてか、物凄く悲しくなってしまう。いや、悲しいのとは少し違う・・・どう言い表せばいいのだろう。 「私もこなちゃんのお見舞いにいきたいよ、お母さん~」 私もつかさという口実がなければ、なんか育ってはいけない感情が名付く程に成長してしまいそうでとても、怖かった。 「だめよ。でも、せっかく花束を作ったから、そうね・・・かがみ持っていってあげたら?」 しかし、母は行けという。その言葉に・・・何故でだろう、あの日繋いだ手がほんのりと温かみを浮かべていた。 「へ?な、なんで、わ、私だけで・・・つかさに熱があるならそっちのほうが心配だし。・・・私もいかないわよ」 何故か声が上ずってしまう。虚勢にしては余りにも滑稽な弁明だった。 「お姉ちゃんは、とってもこなちゃんが心配なんだね」 つかさの言葉に心臓が跳ね上がった。きっと何か特に意図があるわけじゃない。 でも、つかさはどうしてだか、こういっては何だけれどいつも鈍いのに突発的に心の自分でも気がつかない程、奥の何かに触れるような発言をすることがある。 「そ、そんなことないわよ。さっ、傍にいてあげるからベッドで横になったほうがいいわよ」 頭を振って、考えを切り替えて母の後ろにいるつかさの手を引いて部屋に連れて行こうとするが、つかさが動かなかったので、私はつんのめってこけそうになってしまった。 「大丈夫だよ。お姉ちゃんは、私の分までお見舞い行ってきてよ。その方が嬉しいな」 つかさは表情は笑顔で、でも目だけは心配そうな真剣な、そんな不思議な感じの目をしていた。 「じゃぁ、さっと行ってすぐに帰ってくるから」 私は母から紫陽花の花束を受け取りながら、つかさにそう告げた。 「きっとこなちゃん、喜ぶよ」 そういうつかさの額に手を当てると少し熱い。微熱程度だろうけど、風邪のひきはじめには違いなかった。 「あいつのことだから、きっと元気にゲームしてるわよ」 じゃぁ、行ってくるから、ちゃんと寝てるのよ?なんて言うと母が苦笑していた。 つかさがしっかりと頷くのを見届けてから、私は家をでた。 雨は相変わらず降っていた。こんな中、お見舞いだなんて馬鹿げているわね・・・そんな事を思いながら、あの空が青一色に染まってくれる事を願う。 しかし、紫陽花の花言葉ってどんなのだったかな。考えを巡らせていると、前にみゆきから聞いた、日本とフランスの二つの花言葉を思い出した。 日本のは移り気又は心変わり、冷たい人だったかな?でもフランスのは元気な女性だったはず。 フランス流で行けば、十分にお見舞いの花としては間違っていないかな。 言葉なんて、捉える言葉の意味によって変わるのだからここはフランス流で行こう。 ・・・この時、私は心変わりという花言葉がほんの少しだけ胸に染込んだ気がした。 目を覚まして、時計を見ると学校が終わった時間になっていた。空は相変わらず重たい色で染まっている。相当汗を掻いたのかべっとりとしたパジャマの感触と前髪の感触に嫌悪感を感じる。 今頃、かがみ達は学校の帰りかな。私がその場にいたら、かがみにしがみ付いて、それから、からかって顔を真っ赤にして怒ってるのにどこか楽しそうな彼女を見ながらつかさやみゆきさんと笑うのだ。そしたら、かがみも笑って・・・それはとても楽しいに違いないのに、どうして私はその場にいられないのだろう。 「あれ?」 ふと呟いた声は随分と掠れていた。それよりも声を出す程、驚いたのは頬を伝うたった一滴の涙。一滴から始まり、頬を伝い零れる。 私はいつからこんなに、寂しがりに、孤独に弱くなってしまったのだろう。 「ゆーちゃん帰ってきても部屋にいれるわけにはいけないよネ」 ゆーちゃんはつい此間、風邪をひいていたのだから部屋に入れるわけには行かない。きっと感染ってしまうから。 みゆきさんは家が遠いから無理だろうけど、かがみやつかさならお見舞いに来てくれるだろうか? そんな事を考えがら、重い体を起こして昼間に作っておいたホテルみたいにドアに引っ掛けられる“ゆーちゃんは感染るかもしれないから立ち入り禁止”というカードをドアノブに引っ掛けてベッドに倒れこむ。本当は、着替えたいけどそんな元気ないや。 もしかしたら、かがみなら前の仕返しにお見舞いに来てくれるかなぁ。 そんな何の保障もない期待をして、私は目を閉じる。誰もお見舞いに来なくたって早く元気になって学校へ行けば、皆に会えるのだから。 何気ない日々:温かい手へ コメントフォーム 名前 コメント (๑ ◡ ๑)b -- 名無しさん (2023-06-26 07 49 29) 全作品をいっぺんに読ませていただきました。 文章がとても上手で、特に心理描写が秀逸ですね。 続編を楽しみにしています。GJでした。 -- 20-760 (2009-02-03 07 40 25) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)